ロルフィング 効果 体験 感想08
08.人工股関節置換術後のケース(60代女性)
加齢により、痛められた右股関節を人工股関節へ置き換える手術をした60代女性。しかし、術後待ち受けていたのは、手術により新たに生じた痛みとの戦いでした。
クライアントの感想
- 初めて核心に触れられた気がした。
- つながりを感じた。
- オペした股関節が初めて友達になれた気がした。
ロルファー松永の感想
向き合うことから始まる。
オペ後、患者さんの脳裏にはどうしても、『その傷口がまた開いてしまうのではないか・・』、という不安がよぎります。そして自分自身でその部位に触 れることを避けてしまいます。周囲にとっては些細なタッチも、他人が触れることなどは言語道断、絶対に受け入れることのできない状態なのです。
傷口周辺の部位を中心に常に意識にさらされた興奮状態、神経過敏な状態にあるのです。この過敏状態とは、適切な感覚、つまり適切な感度から外れている状態 を表しています。火災報知器のセンサーを例にすると、実際にはガスが漏れていないのに、あたかも誤作動を起こし、鳴り響いてしまう状態です。
そんな時、いったいどうすればいいのか・・・?
まず、ただそこに手をあてるだけ。一番外側の皮膚にそっと手をのせるだけ。触っても大丈夫なカラダに発展したんだと、実際に触れること、この言葉でなく実感させていく過程がとても重要になります。
全ては次への布石。
時間をかけて変化を促していきます。傍目からの立ち姿や歩き方などの動きが変化しても、クライアントご自身で変化をあまり感じない場合もあります。 セッション時のその場における変化も重要ですが、その後に訪れる『 変化するための時間 』を考慮することがとても重要です。些細な変化が次への布石とな る、信頼関係でこの考えを共に共有することが大切です。
可能性はいつでも誰にでもある。
股関節の手術をして以来、ずっとうまくいかないこの部分を、うとましく、自分にとってなくなって欲しいところとまで思い過ごしてきました。
そんな自分であって、自分でないカラダだったのが、セッションを通じて、初めて友達になれた気がしたと、目を細めて穏やかな口調でおっしゃったのが、とても印象的です。
かわってしまった関節を取り戻すことはできませんが、ロルフィングを通じて今ある構造を最大限に活かし、機能するよう変化することができるのです。